2001年タンザニア・ノソブランキウス採集旅行

長年に渡り東アフリカへの採集旅行を実現したいと望んでいたが,旅行同伴者が無く,何時も欲求不満で居た。 実際アフリカで一人旅をするのはどの国でも,どちらかと言えば危険で有る(例え,外国にパートナーを求めてもこの手の冒険に手馴れた人物を見つけるのは非常に困難)。
所が,この年の一月初旬に,ベルギー人で親友のマーク・ベルマンズ(生物学者でアフリカ年魚の情熱的研究家)から, タンザニアへ一緒に採集旅行に行かないかと言うメールが届いた。何と素晴らしい機会であろう! いつ出発したら一番良いか(実際,地域によっては特定の卵目を採集する為には時期を選ぶ必要がある)を決めるのに数週間を費やした後,即刻全てを計画するのに没頭した。

Ruvu(ロケーションとしてはTZL 02/01でTZL 47/01も同じロケーション)。
ダール・エス・サラームからモロゴロに行く道路Ruvu川(Kwaraza TAN 95/14と同じ)が溢れた地域。
此処で,メラノスピラス,ジャンパピー,フラミコマンティスを採集。

ベルギー・フランコフォン・キリーフィシュ・アッソーシエイションのコンベンション開催中の三月末,お互いに顔を合わす機会ができ,そこで最終的に細部に渡り打ち合わせを行なった(旅程,採集する魚の具体的スケジュールは既に決定済み)。重要な事は明確なアイディアーを持って現場へ行く事で有る:何処へ行くべきか又はどうしても訪問すべき地域,それに増して採集したい卵目の決定。 出来るだけ多くの情報を得る為,実際採集に行く魚の種類に関するあらゆる資料を正確に勉強する必要あり(その為には頻繁にドイツ語やオランダ語の翻訳努力が必要!)。
往々にして,同じ地域への旅行記が非常に役に立ち,又これから旅行しようとする地域へ既に行った人達と個人的に連絡を取る事が必要で,これはどこにホテルが有るか知る為だけではなく(通常ホテルについては運転手が一番良く知っている!),魚を採る網のタイプや採った魚の輸送容器に関するあらゆる情報を得る為でもある。
機材はこの手の旅行で主要な役割を果たす。従い必要なすべての資材リスト作成が重要である。これが全てではないが,先ず一番ふさわしい網と袋(そのサイズと品質),捕まえた魚を運ぶ発砲スチロールの箱が必要である(採集現場で探すのは困難)。更には,この地域にあった服装(高温地域なので夜洗濯し翌朝乾いているワイシャツが最高だが,古いT−シャツでも充分である!)又衣類はあまり多く持って行かない事(パレードに出る訳ではないから!)。長靴(一部の地域に有る病気を避ける為,股の付け根までの物),蚊帳(マラリアが有る所では必需品。但し部屋が与えられればだが,それは行って見ないと判らない・・・)。除虫剤,薬のキット(救急箱?)等々。
何よりも先に,採集する魚に興味を持つ水族館(博物館)や大学に相談に行くと良い。一種の持出,持込許可申請書のような物が取れれば,これが往々にして色々な問題解決に役立つ。

魚を採集し運びだし輸出する為には,採集国出発前に取得すべき各種許可書が必要で有り,国によって異なる。ブラジルを例に取ると,必要書類と折衝先の膨大さが故に現状採集旅行を実行するのは不可能である(ドイツ人とオランダ人愛好家のグループが逮捕されテレビに出た例も有る)。他の国では禁止地域以外での採集は比較的簡単である。例えばメキシコの場合,農業省とコンタクトを取るだけであり,アルゼンチンの場合は水族館(博物館)の発行した書類と輸出前の魚をコントロールするその土地の獣医の発行した書類のみで充分である。ガボンの場合は書類が手に入る迄ホテルで一週間程待たなければならないが,早期入手の為には担当官をそれなりの食事に招待するのが決め手になるであろう。タンザニアの場合は,魚を輸出する為には,天然資源・観光省に出頭し魚を見せ,しかるべき税金を払わなければならない。その他にはコスタリカのように魚を採る許可さえ出さない国も有る。

もう一つの問題として航空会社が有る。私の場合,英国航空に生き物は駄目だと拒否された。又到着空港の検疫官との連絡も必要である(彼らの勤務時間を知り、間に合うようにしなければならない)。 これと言った一般的な規定が無いだけに、外国へ卵目を採集に行くと言う事は簡単ではない!如何なる場合でも、一定の知識を持った研究者とか愛好家に相談するのが良いし、現地の旅行代理店に聞くのも良い(中南米のほとんどの国ではあまり無いが)。

旅行の話に戻ると,ついに五月の初め,私はタンザニア,正確に言えばダール・エス・サラーム(Dar es Salaam)に到着した。出発前の四ヶ月間魚に関する事だけではなく,色々本から知識を得ていたので、アフリカ世界のインパクトは私にとってあまり衝撃的で無かった。とは言え、往々にしてかなり期待していたのとは異なっていた(全てが悪い意味では無い)。温度と湿度は非常に高くなっていた。四輪駆動車を予約した(これはファクスとE-Mailで行った。時には技術は素晴らしい働きをする!)事務所で数時間を費やし,これから通過する複数の自然動物園に有るロッジの部屋を予約し、モロゴロ(Morogoro)に向かって出発した。

Manyara(ロケーション TZL 22-01)。

ドドマからタランギレ公園(マニャラ湖に近い)に向かう道路脇に在る小さくて浅い水溜り。 此処ではネウマニー("Manyara"赤タイプ)のみ採集。

今回の旅行中(機中も入れると16日間)川、小川、単なる水溜りを含め"水の有る地帯"を70箇所以上調べ、4,400キロに渡るあらゆる種類の道路(アスファルト道路はほとんど無かった!)を走り,55箇所以上のロケーションを調査するのは大変な仕事であった。
複数の人工衛星を使用したポータブルGPSによる現在位置の探索,ビオトープの写真,特別あつらえのポータブル・タンク(採集した魚のサイズが写真の下に出る様ミリメーターの物差しが付いた物),鉄道とか二つの主要道路の交差点等重要なポイントをキロ数で表示する事が出来る地域の図面(例えば,交差点の南5.5キロに有る小さな橋を少し過ぎた所の道の右側に有る水溜りの所在地の表示),試験紙による水質データー検査(PH,GH,KH,NO2,NO3),あまり正確な物で無かったが,もっと正確に測ろうとしても水質があまりにも早く変化してしまう。水温の調査(多くのビオトープで大幅に異なり,計る水深によっても異なる)。これも調査の一部では有るが,一番大切なのは魚を捕らえる事である。これが又大変な話で理由は多々有るが,卵目の居る場所が"侵入禁止"の農園に囲まれているか,とうてい行けないような所にある。