ドイツ卵目愛好家訪問記 (5)

岡田 暁生


月曜日。今回の滞在は今日で最後だ。平日はやはりきちんと仕事をしなければいけない(きっと週末に会った皆さんも猛烈に仕事に励んでおられるだろうし)。五時まで図書館で調べ物をしてから、街中の店舗が閉まる七時までの間(法律で七時閉店が義務づけられているのである!)、ギュンターに勧められたオリンピック村の近くのショップを訪れた。

  ショップにはリヴルス・マグダレナエまでいた。結構いい色を出している。
ギュンターの家にいたものほどではなかったが。

 上は鳥かご、下は水草水槽!

 奥がウサギ小屋、上が鳥かご、
下が水草水槽!!

ここは熱帯魚だけでなく、犬、猫、鳥、うさぎ、さそり、爬虫類など、何でもありだ。そう言えばドイツ語には「ペットショップ」という言葉も「熱帯魚ショップ」という言葉もない。すべて「Zoo=動物園」である。このショップは(外からはそう見えないが)とにかくバカデカイ。店舗は地下にある。土曜に訪れたショップのような息を飲む水槽の美しさではなかったが、品揃えがすさまじい。卵目も十種類ばかり置いてあった。アフィオのエクシゴイディウム、オーストレリ、ストレイタム、ノソのギュンテリー、シンプソニクティス・コンスタンシアエとフルミナンティス、リヴルス・マグダレナエなど。状態はもちろん最上級ではないが、それでも皆元気そうだ。面白かったのは、すべての水槽で残餌処理に巨大なゴールデンアップルスネールを使っていたこと。これは是非帰国してから実験してみたいと思った。それより何より印象に残ったのは、訪れたのが夕方だったこともあって、お客の大半が夫婦連れだったり子供連れだったりで、皆仲がよさそうだったことである。

 ノソブランキウス・ギュンテリーと
ゴールデン・アップル・スネール。

 

 ここでも巨大な海水魚水槽の数々。無脊椎水槽は二メートル以上あった・・。

宿へ戻る道すがら、家族への土産を探しにイタリア物産店に寄った。イタリアのクッキーはとてもおいしいから。店でかかってるラジオから、まったくの偶然だが、私が店に足を踏み入れた途端、まさにその瞬間に、聞き覚えのあるメロディーが流れてきた。一九九〇年のイタリア・ワールドカップの歌だ。ジャンナ・ナンニーニが歌っている。ベッケンバウアーが監督をしていたドイツが優勝したあの大会を、私はまさに当地で体験したのだった。決勝はあまり面白い試合じゃなかったけれど、マラドーナがまだいたなあ。他にもバッジョ&ストイコヴィッチのワールドカップ・デビュー、カメルーン旋風、トト・スキラッチ、そしてドイツにはクリンスマンとマッテウスとフェラーとリッティとブレーメとトーマス・ヘスラーと・・・。あの年の六月は街中のどこでもこの歌が流れていたっけ。あの頃の私は月十五万足らずほどの奨学金暮らしで、本当にお金がなかった・・。それにしても「旅」とか「縁」とか「出会い」とか「再会」っていうのは本当にいいもんだ。来年のDKGのコンペには絶対にまた来よう。きっと色々な「出会い」と「再会」が待っているに違いない。

  中央市場の八百屋さんとチーズ&ワインショップ。何たる色彩の乱舞!野菜や果物は、ところどころ虫が食べていたりするけれど、とにかくでかくて「ものすごい色を出している」。それを新聞紙に包んで、山盛りいくらで売っている。このあたりの感覚、メダカ飼育とも通じる。