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ノソサファリ MT2003

著  フィリッペトーレ 氏(APK50)
翻訳 酒井道郎 氏(KCJ007,APK139)

3. ロケーション

4月7日の朝、レンタカーを探しに空港に行った。道も右ハンドルの運転も知らないので運転手付きの四輪駆動車を数日前に 頼んで置いた。残念な事に私の要求は一つも聞き入れられず、与えられた車はトヨタ・かローラ 1.3で、自分で運転しなければならなかった。

それが済み、更なる遅れも無く高速道路EN6をDondo-Chimoio(ドンド−チモイオ)の方向にとった。イニャミズア(Inhamizua)の 方向に数キロ行った所で沢山の水溜りが存在したがシィクリッドしか採集できなかった。その水溜りの一つで魚を採っていたら一組の 夫婦が傍に来て魚を採っているのかと聞いて来た。そうだと答え、“バンデイリーニャ”と呼ばれる小さくて色が付いた魚が どこに居るか知っているか聞いてみた。婦人の方が、ここから後戻りした“セラミカ”(Ceramica)地域にいっぱい居ると言ったので、 その場所に行き、幸運が有るか試してみる事にした。

セラミカ地域にはかなり大きい湿地帯が有り、沢山の水溜りが存在し、私は一体どの水溜りにノトブランキウスがいるか見極めると 言うチャレンジに直面した。ほとんどがこの手の魚採りの経験不足が故に、数回に渡る不毛の努力の後、そこで最初の魚を捕まえた。 これはかなり赤いN.オルトノートゥスの小さなオスであった。 このビオトープは道の路肩、左側にあり、そこでは幾多の水溜りが水路で繋がっていた。一帯全てが直射日光に当たり、水深は 30cmから1.5m以上有った。
水草がふんだんに存在し、数度に渡り魚を捕まえるのが困難になり、網が頻繁に水草で一杯になった。そこに生えていた水草は スイレンとカナダモに似た一種であった。陸地の植物は雑草であった。
土壌はロケーション番号1と同じで、ただ小石が混ざっており、なぜか理由は判らなかったが透明度の高い所では 水はかなり暗い感じがした。ここでオルトノートゥスを2ペアーとロケーション番号4で採集したオスに良く似た ラコビーのオス1匹をつかまえた。注目すべきはノトブランキウスを深い所で採集した点である。数日後改めてこのビオトープを 訪問したが何もつかまらなかった。
かろうじてオルトノートゥスの1ペアーがポルトガル迄の旅に耐えて生き延びた。この水溜り全体で捕獲されたオルトノートゥスはかなり赤いと言う事実は記録すべきである。

ここで採集された魚は非常に痩せており、これは捕獲1週間前に記録された大雨とその結果生じた洪水により、他の地域から 運び込まれた事を示している。

この生息地で捕獲されたオルトノートゥスは、既に採集したオルトノートゥスに比べ、色彩と比較的小ぶりな所から、 クンタエ(N.kuhntae)のタイプに加えたほうが良い魚であった。ノトブランキウスの他に幾種類かのバルブ類、カラシン、 蛙の卵、白と金色と黒が大理石状に混ざりあった非常に綺麗だが識別できなかった水陸両生動物(恐らくサラマンドラ)が 捕獲された。経緯を測り、ビオトープの写真を撮り、外気温と水温を計り、後から行う分析の為水の採集をおこなった。 種々分析を行った結果、朝の10時でPHは6、KHは1、亜硝酸塩水準は<0.3mg/リッターで温度は26.7度,外気温は 39.5度であった。

ここで捕獲された魚の個体群は、“セラミカ1(Ceramica 1)”で記号は“MT 03/2”で、“Ceramica 1、MT 03/2”となった。

N.オルトノートゥス“Ceramica1、MT03/2”上:♂ 下:♀(写真:バスコ・ゴメス氏)
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