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ノソサファリ MT2003

著  フィリッペトーレ 氏(APK50)
翻訳 酒井道郎 氏(KCJ007,APK139)

4. ロケーション

次の日、4月8日、ノトブランキウスの住む水溜りを求めて、再び同じ地域に来た。
この一帯は広大で、間違いなく魚が居るように思えた。道が始まった所で妻が水路で繋がった3つの水溜りを見つけ、 我々は止まって調べに行く事にした(前日は気が付かなかった)。水の中に入り最初の一掬いで4cmに近いオルトノートゥスのメスを採集した。
魚採りを続け最終的にオルトノートゥスを6ペアー捕獲した。数日前に行った場所に戻り更に3ペアー採集し、 合計9ペアーとなった。魚の健康状態は非常に良く、かなりふんだんに居た。餌は体の丈夫な魚を作る小さな水生甲虫が豊富に居て、一掬いするだけで何百と採集できる程であった。

その他にも、別の魚や両生動物が居て、30cmぐらいのナマズの種類や、色々な小さなフナ科の魚と、 異なったタイプの蛙を捕まえた。その中の蛙の一種類は、体が完全に粘膜性の皮で覆われ、異常に発達した水かきを持っていた。 これは間違いなくこの水環境の特異性を示していた。また5cm程度の蛙の卵のかたまりも有った。水溜りは全て直射日光に当たり、 日陰は無く、水深は30cmから1.5mに及んだ。

水中草は全く無く、陸地の草は雑草と牧草で水溜りの近くでは牛が草を食べていた。再度水深のある所でノトブランキウスを捕獲した。
土壌は他のロケーションと似ているが、より粘土質で、水はきれいな栗色で、視度は数センチであった。
このロケーションで採集したノトブランキウスは緑がかった青色のボディーと赤い鰭を持っていた。口は上向いており、この特徴は、N. オルトノートゥスの同意語と考えられているNothobranchius mayeri Ahli,1935 の科学的描写と良く似ている。この9ペアーの内、8ペアーが無事ポルトガル迄到着した。
再度経緯を測り、ビオトープの写真を撮り、外気温と水温を計り、後での分析用に水と土壌のサンプルを採った。朝10時のPHは6.5、KHは1、亜硝酸塩の水準は<0.3mg/リッターで水温は26.7度, 外気温は33.5度であった。
ここで採集された魚は個体群が“セラミカ2(Ceramica 2)”とし、記号は“MT 03/3”で、“Ceramica 2、MT 03/3”となった。

N.オルトノートゥス“Ceramica1、MT03/3”
上:♂ 右:♀(写真:バスコ・ゴメス氏)