ノソサファリ MT2003
著 フィリッペトーレ 氏(APK50)
翻訳 酒井道郎 氏(KCJ007,APK139)
翻訳 酒井道郎 氏(KCJ007,APK139)
6. 終わりのコメント
覚書の形で、次の点を書き置きます。これらは私にとっては基本であり MT2003探検の重要性を良く実証するものです。
良かった点
- オレンジ色の色調が濃く、間違い無く、かって趣味界で飼われた中でもっとも美しいラコビーの一つを捕獲した事。
- モザンピークの中央ゾーン、ベイラの町から北50kmの所で、個体群“KNP”を特徴付ける顕著に緑がかった黒の色彩を持ったラコビーの採集。その生息地は南アフリカのクルガー国立公園(Kruger National Park)で南東1000km離れた所。以前までは黒色が圧倒的に強いラコビーの生息北限はビランクロス(Vilankulos)地帯であった。現在では、今回の旅行のお陰で、その北限が更に少なくとも500km進んだ。
- モザンピーク中央部では空色とオレンジ色のラコビーの存在しか認識されていなかった。今回この地域での黒色のラコビーの存在が証明された。
- 地理的に非常に近距離の間で(最高60km)色、サイズ、形の変化に富んだ、異なったN.オルトノートゥスを採集した事。これは間違いなく、過去数年ペンディングになっている問題、即ち、現在はN.オルトノートゥス(N.orthonotus)の同意語と思われているN.クンタエ(N.kuhntae)とN.マユエリー(N.mayeri)種の有効性に関する議論が再開されるであろう。以前は全ベイラ地域は“クンタエ”形のみと思われていた。
- ほとんどのメスがオスと一緒にもっとも深い所で採集された事(個体群“Nhangau、MT03/4”のメスのみは生息地の水際で採集された)。他の東アフリカ地域のほとんどの場所では、メスは生息地の水際で、オスは深い所で採集されて居る。
- ファラ(Sofala)地域での採集を行った事。1991年以来この地域での採集は一度も行われなかった。
- モザンピークの人々の親しみ易さと丁重さ。これが故に出来るだけ早く再度モザンピークへ行きたいと思う。
悪かった点
- ベイラの町と近隣地帯の零落れた状態。しかしながらベイラの町は大々的に再開発中と聞いた。
- ある人達(多数)の悲惨な生活状況。
- 飲料水の入手困難さ。水道水は品質が悪く、飲むのを止められた。
- 道路のほとんどが最悪の状態。
- 農薬を使った米栽培は恐らく近年中にノトブランキウスのかなりの生息地を破壊するであろう。
以上
【訳者注】
筆者のトーレ氏から、JKF会誌への翻訳転載を快諾して頂き、同氏のポルトガル語原稿と 写真を送ってもらいました。同氏に感謝の意を表します。